パッカーの旅、回想してみる 

チョルテンと月

パッカーとはバックパック担いで世界を歩く旅人のことを言います。

旅をはじめてから止むことなく今に至ります。
画室に籠もり続けてはもう我慢ならんとザックに荷物詰め込んで、飛び出す
気が付いてみるとずっとこの繰り返しなのです。

写真はもう20数年前に出掛けた旅のもの
当時のポジフィルムもカビが付いて修正にもずいぶん手間がかかります。

カシミールの夕

たいていの事は過ぎ去り忘れていきます、そんなものでしょう
ただ時が経っても忘れることのないものもあります。

この旅は初期の旅ですからまだとても若く経験も乏しく
それはもう全てやられっ放しのひどい旅でした。
若気や体力ではまったく歯が立たないことを知り自信崩壊
唐突に「オマエはなにをする人ぞ」と突きつけられた気がした旅でした。

暑くて屋上に布を敷いて寝ることしか出来なかったハニーゲストハウス
泣けるほどボロい安宿、それでもまだヒンヤリとした石の床が心地よかった
サダルストリートのホテルパラゴンでは毎日ばらまかれる消毒薬の匂いが鼻を突きます。
ニューデリーやカルカッタにあった伝説の安宿です。
そこには世界の匂いを染み付かせた各国からのバックパッカーが溢れていました。

戒厳令がいきなり敷かれて戦車や実弾込めた兵隊であふれた街もありました
上の写真、インド最北部リトルチベットとも呼ばれるラダックでのことです。
毎夜爆弾音が鳴り響く土地もありました、下の写真のカシミール州スリナガルです。

日本で育ってきた経験じゃとても理解できない事だらけのオンパレード
美しいものも醜いものも楽しい事もつらい事もみんなごっちゃまぜ
続けざまの衝撃となって迫ってきました。

記憶は薄れ印象は残ります。
その今も残された断片的なシーンの数々はどれも
「はかり知れない美しいもの」としてろ過され精製され
今ではワタシからずっと消えることはないのです。

(写真/Nikon F3/Zoom-Nikkor 35-105mm f/3.5~4.5)

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