パッカーの旅、番外編・病に伏す・・・その弐 

ゴア4

やっと旅がはじまったかと思ったらなんだか判らぬうちに高熱に臥してしまったワタシ
前の記事からの続きです、未読の方興味ある方よろしかったら→こちらからどうぞ

インドはゴア、牛もたゆたう田舎村ビーチ辺りにはやっぱり医者は無く
近くの街から往診に来てもらえる様、相方が宿の主人を通して手配してくれました。
ワタシは42度に迫る高熱かかえて震えてただ待つしかありません。
この時はまだなんの病名かも判らず知りませんし、、、とても不安なのです・・・

ちなみにインドでは大抵の病気が普通にあります。
長旅をするパッカーなどはみないつの間にか病気病状に詳しくなっていたりします。
そんなお国柄です。
日本で言うところの法定伝染病クラスの大物も珍しくなく
赤痢やアメーバー赤痢をはじめA型肝炎にコレラにマラリアと揃い踏みです。

長旅をするパッカーも気を付けてはいてもいつかどこかで病に引っかかります。
ワタシタチも何度か赤痢系を経験しているのですが、、、これ、ツライものです。

しかも凄い伝染力を持っていて大部屋ドミトリー宿だったりしたら
一気に広まって数日でひと宿全員ダウンは必至だったりします。
まあきちんと処方された薬を飲んで安静にすれば数日で完治しますので
怖がりすぎる必要もありませんが観念して旅の休息と寝て過ごすことになります。

・・・・・と、どのくらい時間が過ぎたでしょうか
ドクター(インドではR発音するのでドクトルです・笑)がやっと到着しました。

ゴア7

部屋に診察カバンたずさえたドクトルと心配そうな宿の主人が入ってきます。
「ドクトルは休診日だったけど連絡したら車とばして来て下さったよ」
と優しい宿の主人がワタシの脇に冷やしタオルツッコミながら言います。

インドの医療レベルは高いとの評判ですし、アーユルベーダー始祖の国ですし
今までドクトルの往診を受けた経験も一度となくありますので不安はありません。

相方がドクトルにワタシの症状を説明しています。
ドクトルも相方にいろいろ聞いているようですがワタシにはボーッとして聞き取れません。
ドクトルの診察がはじまります、聴診器を当て、体温に触診
「はい、口をアーンと開けて」
ドクトルが顔を寄せます、、、ウッ・・・酒クサイ・・・

熱で感覚の鈍った状態で判るのですからかなりの酒臭さなのです。
「ドクトル今日はお休みで昼間からガッチリ飲んでたんですね・・・
 そんな中、車飛ばして来て下さりスミマセン、酒飲みのお医者さんは悪いお医者
 なんて言う道理も聞きませんし、ここはどうぞよろしくお願いします」
そんな心境になります・・・
と言うよりも、、、ドクトルー!! ベロベロじゃないですかぁ~~

ここはゴア、ヒンズー教徒の多いインドの中でもキリスト教色の強いお土地柄
インドではではとても珍しいおとがめ無しでお酒が飲める飲酒フリー州、、、
めっぽうお酒好きが多いのです・笑

ドクトルが診察を終えカバンを開き治療の準備に取り掛かります。
「ドクトル、いったいなんの病なのでしょうか?」と相方が聞きます。

ドクトル、キリリッとワタシの方を振り向くと
「ユー・アー・リアル・インフルエンザ・ハンドレットパルセント
 アナタは今日医者に出会えてヨカッタ、もしもその出会いが明日だったのならば
 アナタはもうこの世界には居なかったであろう!!」
そう言うと「ニカッ!」と一瞬笑ってニヒルです。

ここはインド!登場したドクトルもやはりなかなかのキャラのようです。

カバンから薬を取り出し注射の用意をはじめました
ワタシ、朦朧としながらも「注射針を、、、ハリの確認タノム」とつぶやきます
簡単な不注意でエイズや肝炎に感染したりしたら一大事、確認どころです・・・

相方がドクトルに確認するとドクトルはおもむろに
「未開封新品の使い捨て注射器」を手に取り包装ビニールを大げさに破って開けると
また一瞬「ニカッ」と笑って 「これでどうだ!」とニヒルです。

嗚呼、、、朦朧としながらも「ディスイズ インディア、やっぱりインドだ」
キャラが立っている・・・笑

無事注射も打たれて、、、これできっと大丈夫でしょう。
インドの薬は効くんです、強いのでしょうけどその分いつもガッチリ効果が表れます。
やはりすぐに熱も下がりホッとして眠ればみるみる快方に向かったのでした。

ゴア6

後日談
注射を打って寝続け二日後やっと部屋から出ていく力も戻ってきました。
南国の刺すような日差しが眩しい、、、眩しすぎる、、、あれ?
宿付きのオープンテラス食堂にお世話になったドクトルと宿の主人がいます。
ニッコニコしながら「オー、良くなったかい?まあまあこっちへおいで」と
ワタシタチをテーブルに招いてくれます、、、
テーブルには高級ウイスキーのボトル、ウウッ、やっぱり飲んでいるのです・・・

「お世話になりました、おかげでこの通り快方に向かいました」
お礼の挨拶もそこそこにワタシタチのグラスが用意され高級ウイスキーが注がれて・・
完治にはほど遠い状態、日本だったらこの状態で酒は無いだろ、と思いつつ
それはメデタイ快気祝いとばかりに酒盛りがはじまるのです・・・
40度越えの熱二日後に、、、と思ってもドクトルのお墨付きだし、祝い酒・笑

拙い英語同士で楽しく話し、さんざん高級ウイスキー注がれてもうフラフラ
「ドクトルそろそろワタシタチは部屋に戻ります、今回は本当にお世話になりました
 お礼のしるしにここの支払いはワタシタチにさせて下さい」
しかしドクトル「貴方達は旅の人、私が旅の人からもらうわけにはいかない」と
突っぱねやっぱりニヒルなことを言います、ろくな治療代すら払ってないのに・・・

しかもずっと宿の主人と思い込んでいた優しいオジサンはただの
ドクトルの仲良し飲み友達だったことも判明・・・・・

いつも旅中みなさんにお世話になりっぱなしのワタシタチ
やっぱりここもしっかりおごられてしまうのでした・・・(高級ウイスキー高いのデス)
フタリトモほぼ泥酔して、病み上がりだしそろそろ限界、、、
「それじゃ、ご馳走さまでした。この度は本当にありがとうございました」
と部屋に戻ろうとするワタシタチ

すっかりほの暗くなった中フラフラと立ち去ろうとする背後から
「ハブ・ア・グッド・トリップ! よい旅を!」
と声がかかります。
振り返るとドクトルとそのお友達オジサンの「ニカッ」と笑ったその顔が
黄色い白熱灯に照らされ光っていました・笑

翌日、ワタシタチこの旅の再スタートは
酷い二日酔いと共に始まったのは言うまでもない事なのです・笑

ドクトルイラスト
この当時の旅メモ帳に描かれていたイラストおまけに載せちゃいます・笑

(写真/CanonEOS1n/EF24-85mm F3.5-4.5 USM)
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お久しぶりです!
ニーハオ国の検閲の網の目をくぐってのコメントです(笑)。
旅先での高熱って、あとで聞けば笑いのネタみたいなんですけど、その時は、ほんまにこれで死ぬかもしれん...なんて切実に思ったりするんですよね、確かに。
この文章を読んで、ぼくもインド・カルカッタの旅人宿パラゴンで、うんうんと高熱にうなされていたのを思い出しました。熱が引いたときの安堵感もまた大きいんですよね。あぁ助かった~、なんて。

印度旅行、楽しんで来て下さいね。
ハブ・ア・グッド・トリップ!
一路平安!

[ 2011/01/21 18:20 ] [ 編集 ]

中国と共に急成長が日々語られるインド
それで我々のインドはいったい大丈夫なのであろうか!
そういうことでワタシタチいつもの確認に行ってまいります。

エアアジア利用によって旅のルート自由度が広がり
バンガロールイン、コーチンアウト等、その他いろいろと
アレンジ出来るようになりました。
これからは周遊意識を持たずに一点そのお気に入りの土地のみ
といった贅沢なプランも立てられるかもしれません。
ちょっと、カニャクマリでコーヒー飲みながらの夕日を見に行ってこよ~
なんて、いいですよね~・笑

で、
2013年早春にはまだ仮ですがバラナシ集合旅カレー会となっております。
友よ、心して待つ!・笑
[ 2011/01/23 23:21 ] [ 編集 ]

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