リトルチベット2・オンボロバス 

オンボロバス

リトルチベットとも呼ばれるインド北端ヒマラヤ山中のラダックへ向かう道でのお話。
美しい湖ダルレイクにハウスボートが浮かぶ風光明媚なかつての高級避暑地、しかし今では政情不安万年戒厳令状態、日々爆弾が鳴り響くカシミール州スリナガルからご覧のようなバスに乗り、ほぼ未舗装路を丸2日激しい揺れと振動に耐え抜けば目的地ラダックに到着するというタイムスケジュールを信じつつ・・・乗客はすでにみな放心状態、目は虚ろです。

インドTATA社製のバスにサスペンションは無きに等しいとの噂通り、ビビビビッとダイレクトに背骨を貫く振動、窓はヒビ割れ閉まりもせず全身砂埃でジャリジャリ、しかもちょくちょくプスッと止まっては運転手が専用工具も持たず原始的にガシガシ修理しつつ、熱対策でしょうかエンジンにたびたび水をブッカケながらあえぐようにジリジリ進みます。これでもスーパーコーチと書いてあるようにひとクラス上のツーリストバスなんですね・・・

運転手は痩せこけたお爺さん・・・異様にテンション高く、手元のオンボロラジカセでインド映画音楽をガンガン鳴らしつつもアクセルはずっとベタ踏み、インド低カースト御用達の安タバコ、ビリーの火を絶やすこともなくバフバフ煙を吐き、目は血走っています・・・まれに他の車を見かけるとクラクション鳴らしっぱなしで鬼気迫る形相で抜きにかかります、ガードレールなど無い崖道だっちゅうに・・・もちろん交代運転手なんていません・・・このとってもワイルドなちょいワル痩せこけお爺さんが乗客の命運をにぎっています・・・

ラダックへの道道はといえばヒマラヤカラコルム仕様、インダス川の源流に沿って突き進むバス1台分がやっとの大半未舗装路。
景色は絶佳。地球のなり立ちや太古の造山活動を肌で感じ「これではバランスが・・・調和がとれてないでしょ」と突っ込み入れたい荒涼の山砂漠。
「この道じゃ事故もねー、あるでしょ?」と見ると谷底に転落済みの残骸バスも発見・・・コレハ!アリエマセン・・・徐々に景色をながめる余裕もなくなり体力はどんどん吸い取られ、ただひたすら忍の一字に・・・。

もはやなにも考えることすら出来なくなり、背骨は痛み、跳ねてはタンコブ作り、眼鏡のレンズは割れ、内蔵が下がりきった頃に、目的地であるラダック地方中心の町、レーに到着です。
もう2度とこんな乗り物イヤです、と思いつつヨロヨロ足でバスを降ります・・・
(しかしそんな思いもむなしく帰路は、さらにさらにキビシイ行程に・・・笑)

目的地レーに到着し、虚ろな目で辺りをながめるとそこは紺碧の空が広がる別天地でした。
次回からはチベット文化圏ラダックに入ります。

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